月経不順・不正出血
月経周期とは月経がはじまってから次の月経がはじまるまでの期間のことで25日から40日くらいまでが正常周期となっています。この日数より月経周期が長いか短い場合は月経周期の異常となります。
月経血の量は人と比べることが難しいですが月経時に500円玉ほどの血の塊が出るなどはやや出血量が多いと考えます。逆にナプキンに付着程度でほとんどナプキンを替えなくてもよいくらいの量は出血量が少ないと考えます。
経血の量は多くても少なくても何らかの疾患が潜んでいる可能性があります。
月経日数は3~7日間が正常範囲です。月経時以外の出血は不正出血と考えます。
また月経が3か月以上来ないことを無月経と言います。
これらも病気が原因で起こっていたり、不妊の原因であったりすることがあります。
少しでも心配があったり、違和感があったり、おかしいな?と思ったりすれば婦人科を受診して相談してください。
月経困難症・月経痛・PMS
月経困難症とは月経痛がひどく、日常生活に支障をきたすくらいの症状が出ている状態のことです。
腹痛、腰痛、嘔気、嘔吐、頭痛、全身倦怠感、憂鬱、イライラ感などが症状です。
子宮や卵巣に特に気になるところがなくても起こる機能性月経困難症と子宮筋腫や内膜症などの病気が原因で起こる器質性月経困難症があります。
また月経の10日位前から始まる胸のはりや頭痛、むくみ、気分の落ち込みやイライラ感などの不調をPMS(月経前症候群)といいます。
それぞれに薬物治療やサプリメントもありますので症状がしんどいなと思ったら受診することをお勧めします。
子宮筋腫
子宮筋腫は子宮の筋層にできるできもの(腫瘍)のことです。無症状のことも多く検診で見つかる場合もあります。基本的には良性のため持っていても特に問題はなく定期健診で構いません。筋腫のできる位置や個数、大きさによっては月経の量が増えたり月経痛の原因になったりするので治療が必要な場合があります。
子宮内膜症
子宮内膜症とは本来子宮の内膜にある組織が子宮以外の場所にできる病気です。
子宮筋層にできる場合を子宮腺筋症と呼びます。
卵巣や卵管、子宮の周りや時には骨盤から離れた場所にできてそこで出血送り返し月経周期ごとに悪化することがあります。
また子宮内膜症は炎症により癒着を引き起こし不妊症の原因となる場合があり注意が必要です。
月経痛、腰痛、嘔気、嘔吐、頭痛、排便痛、性交時痛などの症状があります。
手術だけでなく保存的な治療もいくつかありますので心配な方は一度受診をしてください
子宮頚部・内膜ポリープ
子宮のポリープはできる場所によって名前が異なります。
頚部ポリープは不正出血などの症状が出ますが検診などで見つかる場合もあります。
大きさにもよりますがそのまま外来で切除できる場合もありますし時には縫合処置が必要な場合もあります。
内膜ポリープは子宮の内膜から発生し超音波検査などで診断します。不正出血や月経周期の異常が症状で不妊症にも関係しています。
卵巣腫瘍・卵巣のう腫
卵巣腫瘍とは卵巣にできる腫瘍のことで良性のものを卵巣のう腫と言います。
卵巣腫瘍は初期には自覚症状がほとんどなく進行してから下腹部痛や腹部のはり、腰痛などで受診に来られる方も珍しくありません。
透明な液体がたまるタイプ、血液がたまるタイプ、脂肪などがたまるタイプがあります。
もし病気が見つかった場合はそれぞれに治療方法が異なるので詳しく説明させていただきます。
卵巣出血
卵巣出血とは排卵の時に卵胞がはじけて卵子が飛び出したときに卵巣の一部が出血し血液がたまる状態をいいます。排卵の時期に片側の腹痛が起こります。ほとんどの場合は自然に止血しますがまれに出血が止まらず強い腹痛と貧血を起こすことがあり手術が必要になる場合があります。
子宮内膜炎・卵管炎
おりものが多い状態が続き子宮や卵巣、卵管に菌が広がり炎症を起こす状態のことです。
腹痛や腹部のはりが出て、時には発熱することがあります。さらに広がると腹部全体に広がり腹膜炎となり入院が必要になる場合があります。不妊症の原因になることもあるので注意が必要です。
子宮頸がん・子宮頚部異形成
子宮頸がんは子宮の入り口(頸部)に出来る癌です。近年増加傾向で20~30代のでは一番多い癌になります。原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)感染が関与していると考えられています。
不正出血や性交時出血などの症状が出ることもありますが初期は無症状のことが多く進行し異形成という状態を経て頸がんになります。
子宮がん検診で異形成の状態で発見出来れば完治出来るがんなので検診が重要です。
大阪市は20才以上の女性で2年に一度400円で検診を受けることが出来ます。
是非検診を受けて頂きたいと思います。
子宮体がん・子宮内膜増殖症
子宮体がんは子宮の内膜からできる癌です。閉経後の女性に多く見られます。
不正出血や茶色のおりもの、進行すると下腹部痛や腹部のはりがあらわれます。
子宮内膜増殖症は子宮の内膜が異常に増殖し細胞に異型が見られる状態で子宮体がんの前がん状態と言われています。
卵巣癌
卵巣癌は卵巣にできるがんで閉経期頃の女性に多く見られます。
卵巣のう腫と同様に初期には自覚症状がほとんどなく進行してから下腹部痛や腹部のはり、腰痛などで受診に来られますが良性ののう腫よりも大きくなるのが早いことが多いです。
検査で悪性の可能性がある場合はMRIや腫瘍マーカーなどの血液検査なども行い詳しく調べます。
低用量ピル
一般的には避妊のための薬で60年前頃から世界で使われていた安全性の高い薬です。
日本では1999年に認可され避妊効果は99%以上あります。現在は避妊目的だけでなく月経痛や月経困難症の治療薬として保険適用された薬剤もあります。
ピルを内服すると排卵が抑制されます。そのため子宮内膜が厚くならず着床しにくい状態になります。
子宮内膜が厚くならないため月経血が減り月経痛も改善します。
使用前には診察や飲み方の説明を行います。
性感染症
性感染症とは主に性行為によって皮膚や粘膜を介して感染する病気のことです。
おりものが増えた、においが気になる、かゆみがあるなどの症状がある場合は性感染症の可能性があるので受診して下さい。
代表的な性感染症としてクラミジア感染症、淋病、尖圭コンジローマ、トリコモナス感染症、梅毒、性器ヘルペス、肝炎、HIV感染症などがあります。
更年期障害
更年期障害とは閉経期の45才~55才頃の間に女性ホルモンの分泌が減少しさまざまな体の不調を引き起こす状態です。のぼせ、発汗、イライラ感 冷え、頭痛、動悸、不眠、不安感、肩こり、疲労感など症状は人により様々です。また更年期症状と思っていても甲状腺疾患や貧血、高血圧など他の病気が隠れていることもありますので不快な症状を我慢せず、つらいと思ったら婦人科受診をして下さい。ホルモン補充療法、漢方治療などご説明いたします。
また当院ではホルモン補充療法が難しい乳がんの既往の方や副作用が心配な方に非薬物療法として大豆由来成分のエクオールをお勧めしています。エクオール(小粒2粒/日)は更年期症状に対して有効性、安全性の高いサプリメントです。
性器脱・子宮下垂
子宮や膀胱、膣壁などが年齢とともに下がりひどくなると膣の外に飛び出してしまうことがあります。強い違和感、排尿障害、膣の炎症などを引き起こします。
骨盤底筋体操による訓練やペッサリーと呼ばれる膣内挿入器具を使用して治療します。
膀胱炎
膀胱炎は女性に多い疾患で膀胱の中に炎症を引き起こし、頻尿、血尿、排尿時痛、残尿感などの症状をもたらします。月経中や妊娠中、性交時後などに起こります。また尿意を我慢することでも起こります。
水分をしっかりとるようにして抗生物質で治療します。
タイミング療法・排卵確認
タイミング療法とは超音波検査で卵胞や子宮内膜の厚みを測定し排卵日を予測する治療法です。また尿中のLHホルモンを測定することもあります。妊娠を考えている方は基礎体温をつけることをお勧めします。